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嵯峨美術大学デザイン学科グラフィックデザイン領域公式サイト
Future with AI

デザインとAIの未来の話をしよう。
さて『AIによってデザインがどう変わるか』の話をするまえに。まず、グラフィックデザインについてはなしておきます。
グラフィックデザインは直訳すると『印刷のデザイン』です。つまり新聞や雑誌、ポスター、パッケージなど紙媒体のデザインのこと。
印刷の長い歴史の中で、情報伝達のノウハウは蓄積され、総合的なデザインとして発達してきました。
情報伝達の主役がSNSとなりつつある現代においても、応用可能なデザインベーシックとして、なお主役の座を維持しています。
ただ、グラフィックデザインのポジションは未来永劫に明るいわけでもありません。チャットGPTを代表とする、昨今の生成AIの進化には目を見張るものがあり、これまで人間しかできないと言われていたデザイン分野もAIのテリトリーになる可能性が出てきているのです。実際、画像生成AIのことは、本学の教員の間でも結構話題になっていて、生成AIの出現で『デザイナーやイラストレーターという職業がなくなるんじゃないか?』『著作権侵害の問題はどうなるんだろう?』『デザイン教育はどう変わるのか?』などの危機感も少なくないです。
ただ『ネット上の情報や事例から学習し、オーダーに添ったデザインやビジュアルを簡単に生成するAI』にも弱点はあります。
どんなデザインにしたいのか、最初に人の指示がないと、AIは何も動けないし、新しい時代を読んで提案してくれることも期待できません。結局、AIを使うのにも、デザイン的なスキルや発想力が必要なのです。
技術の進歩はいつの時代も、人が便利になる方向でしか動かないので、有れば良い程度のデザインを求めていた人にとって、AIはすごく便利なモノとして映るかもしれませんし、デザインを作業として請け負っていたデザイナーにはすごく驚異となる存在なのでしょう。
ただ、デザインの本質は表現ではなく提案なのですから、生成AIはアマチュアの人が求める、便利だけど、ありきたりな、ビジュアル&デザイン制作道具という感じでしょうか?
結局『AIが得意な仕事と、人にしかできない仕事』の棲み分けをすれば良いだけの話です。もちろん多くのデザイン教育の現場は、大きな変革期を迎えるのでしょうが、本学のグラフィックデザイン領域では、昨今のAIの進化は5年ほど前からすでに織り込み済みで、現在の教育内容をはすでにAIとの共存を意識したものです。
本学は『AIと競う』のではなく『AIを使う側になろう』がコンセプトです。