第1限目:賞の取り方教えます!

いよいよスタートします、デザインモン広告塾。

さて、「賞の取り方教えます」というコーナータイトルでスタートしたこのコラムですが、いきなり腰を折るようで申し訳ありませんが、賞を取るのに鉄板の法則も、お守りも、ましてや呪文も無いのです。賞は「たまたま」取れるのです。

うちのゼミ生も、5年連続して約半数のメンバーが「たまたま」賞を取っただけ、ゼミ生の7割が入選したのも、ただラッキーだったのです。ということで、このコラムは終わります。

 

・・・と言うわけにはいかないので、このコラムでは広告賞にチャレンジしたいという学生に向けて、「広告賞」を取るという目的を通して、「広告制作」についての基本的な考え方や、表現の仕方、広告の目的などを、学んでもらおうというWeb講座を開講します。

 

ということで、まず初回は タイトルにある「賞」というものの、仕組みを考えてみたいと思います。

賞には審査基準がある。

では質問です、広告賞を取る作品ってどんな作品だと思いますか?

カッコイイデザインがされている作品でしょうか? 新しい表現がされている作品なのでしょうか? それとも誰もがニコッとなる心温まる、可愛い作品なのでしょうか?

実は、賞はそんな基準で決まっていません。広告コンペって、言ってみればピアノのコンクールみたいなものです。コンクールに出ない人はピアノの上手い下手を競うのが、コンクールかと思っていますが、実は全然違います。

コンクールは「素人のど自慢」ではなく、ちゃんとした審査基準があり、それをどうクリアするかを競うのです。わかりやすく言えば、ショパンコンクールで、いくら上手くてもベートーベンの曲みたいに弾いたらダメですよね。つまり、いかににショパンを表現しているかを競っているわけです。

受賞する確率を上げることはできる。

広告コンペにも同様に審査基準が存在します。もちろんピアノコンクールとは違う面もあります。応募作品の量の多さが違います。

でも幸いなことに、ピアノコンクールと違って、ちゃんと解って出品してくる人はそう多くない。

応募点数が1,000作品であれば、その約70%はカッコイイとか、新しい古いと言った、自己満足で作品を作っている人と言っていいかもしれません。だから応募点数の1,000作品に対して入選が100作品だったとしましょう。

数字だけ見ると入選した作品は10倍の競争を勝ち抜いたように見えますが、実は応募作品は「荒選り※」で4〜5割程度が落とされ(審査会場に並ばない)、1次審査でさらに半分が落とされ、最終選考に残ったものから2〜4倍の確立で入選が決まり、さらにその中から入賞者が決まる。

「荒選り」をクリア出来れば5倍程度の確立で入選ができますし、最終審査に残る作品が作れれば相当な確立で受賞できることになります。

そこから先は本当に水物。何が入るかなんかはわかりませんし、受賞したとしたら「たまたま」です。

※「荒選り」とは本審査に入る前に賞の審査対象としては明らかにレベルの低い作品を選別する作業

 

つまり広告賞や、グラフィックコンペは宝くじでは無いということを理解しなければいけません。

受賞できるかどうかは分からないまでも、確立を上げることは可能なのです。そこが解っていないと何作品出品しようが名目倍率を上げる効果にしかなりません。名門校の記念受験と同じです。

広告賞チャレンジは特殊なスキルを必要としない

ここまで読んで、やっぱり何か特殊なノウハウがあるんじゃないか?と思われるかもしれませんが、別に特別なことをする必要はありません。ちゃんと真面目に「広告」を作ればいいだけのこと。あえて奇を衒うようなことをせずそのコンペに向き合う、その上で切れ味を競うのです。

グラフィックコンペも同様にちゃんと「グラフィック作品」を作ればいいだけのことです。こちらもあとは切れ味の勝負。

 

そこで必要とされるスキルは、コンペだけにしか通用しない特殊な技術や評価基準ではなく、クリエイティブ業界で求められる最もスタンダードな発想であり、要求される能力なのです。

賞に価値があるわけではない。

ではなぜ、みんな賞を欲しがるのでしょう? 賞を取ると、就職に有利になるとよく言いますが、僕は受賞に価値があるわけではないと考えています。

実は賞は、その業界のスタンダードを理解しているかどうかの、業界全体としての進級テストみたいなもので、だから通常の仕事をして上手く行っている人は、賞なんか狙う必要がないし、逆に狙ってるとカッコ悪いのです。審査員自らが賞金欲しさに応募したりしないですよね。

 

賞を狙うのは学生、プロになったばかりの新人、境遇に満足していない中堅に与えられるチャンス(特権)みたいなもので、賞を取ることに価値があるのではなく、賞を取ったことでスタート位置に立つきっかけができるから、みんな賞を狙うのです。

 

そう考えると、賞に出すのに、一か八かのギャンブルをする必要はなく、粛々と「広告」を作り、正面から取りに行けばいいのです。

つまり、賞は水物だが、最終審査に残る作品は十分に狙って作れるし、ちゃんと向き合えばすごく勉強になるということです。

 

ということで、次回は「広告ってなんだ?」について書いていきたいと思います。

© 2017 Kyoto Saga University of Arts Department of Design

Visual Communication Design : DESIGN-MON